国家公務員数削減−行政リストラの進展度−
2006年2月13日
目次
1.リストラへの取り組み度合い
日本発の世界ブランドとなった松下電器(Panasonic)にしろソニー(Sony)にしろ、バブル経済の崩壊とともに大規模なリストラに取り組んできた。
一方で日本国経済は未だ長いトンネルを抜け出せていないが、リストラは進んでいるのだろうか。
※ 松下電器およびソニーの各数値は各社のAnual Reportより(会計基準の変更により数値の連続性に欠ける場合がある)。
※ 公務員数は、財務省「予算及び財政投融資計画の説明」による一般会計の国家公務員の定員(ただし自衛官、国会・裁判所・会計検査院・内閣を除く)。
総務省行政管理局による国の行政機関の定員についての説明資料(PDF)によると、国の行政機関の全体定員(自衛官を含まない)は昭和56年の臨調設置時の89万8千人から激減し、平成17年までに56万6千人減の33万2千人(37%)にまで減っているとされる。
これが本当ならすばらしいことであるが、実はこの定員数には特別会計の定員が含まれており、その減員の大多数は独立行政法人に移行した組織の定員数の減少によるものである。例えば平成15年度末から平成16年度末には、国立大学の独立行政法人化に伴い文部省の特別会計による定員は13万3千人削減されたことになっている。
民間企業でみると、松下電器は2001年7月に2001年9月からの早期退職優遇制度で5千人の削減(主要5社8万人の約6%)を発表、2005年2月には当初計画から約3千人上積みし7〜8千人(全従業員の約1割)削減すると発表した。先手のソニーは1999年3月に、グループ総人員17万人の1割削減を発表している。こうしたリストラを経て、各社の業績は昨今回復に転じている。
一方、国家公務員数はとみると、1998年からの7年間で一般会計税収は約15%減少しているが国家公務員の定数(一般会計のみ、自衛官等を除く)は5%程度の減少でほぼ横ばいである。もちろんこの間の利益が黒字ならばまったく問題はないが、国債の発行額は年々増大し続けており、つまり赤字が毎年拡大している状況下でありながらのこの対応である。
2.計画と実践
政府は2004年12月、2005年度からの5年間で「定員10%以上削減」を明記した行政改革方針を閣議決定した。さらに2005年10月に閣議決定された「定員合理化計画」では、10%に相当する33,230人から2005年度の削減数5,549人を引いた27,681人を2006年度からの4年間で減らすよう、より具体的な数値目標が掲げられた。この削減目標は、省庁の人事・給与部門の電子化で定員を減らしたり、毎年度の新規採用者数を退職者数より抑えたりして積み上げられたものである。
しかし昨年(2005年)8月の2006年度予算概算要求時には、なんと逆に5,952人の増員数が提出された。もし定員増がこのペースで続いたとすると削減目標から差し引いた純減数は4千人弱となり、結局5年間の純減数は定員の2%程度に留まると見込まれ、結局「方針」も「計画」も「絵に描いたもち」で終わることになりそうである。